甘酒

甘酒ってなに? 甘酒ってお酒? 

甘酒は日本の伝統的な甘い発酵飲料で、ノンアルコールの「米麴甘酒」と微量アルコールありの「酒粕甘酒」の2種類があります。

米麹甘酒

  米麹 米 水  発酵 米麴甘酒

   米麹    → 発酵 ⇒ 米麴甘酒

 ・アルコール: 不含有

酒粕甘酒

  酒粕 砂糖 水 → 煮溶かし ⇒ 酒粕甘酒

 ・アルコール: 含有

 ・酒粕の量によってアルコール度数が変わり、たくさん飲むと酔っ払う可能性があります。

 ・酒粕は、醪を搾られたもので、清酒を造る際の副産物です。そこにはお米や酵母の栄養がたっぷり詰まっています。

 ・大晦日や正月に神社で振る舞われるのは酒粕甘酒が多いです。また、地域によって神社やお寺周りの屋台で売られているのは米麴甘酒や酒粕甘酒です。

 ・アルコール度数1%未満の「酒粕甘酒」はソフトドリンク扱いでスーパーやお店で販売されています。

甘酒は江戸時代の夏バて防止の栄養ドリンク?

江戸時代後期(1781年 – 1867年)京都、大阪と東京の風土・民情の比較が記録された「守貞漫稿」という書物があります。

その文献には京都・大阪では夏の夜だけ甘酒売りが町中で商売していたという記載がありました。  

国立国会図書館デジタルコレクション – 類聚近世風俗志 原名守貞漫稿 164頁(コマ番号102/323)/挿絵引用

甘酒売りの挿絵を見ると、江戸の甘酒売りの籠には『もち甘酒』の文字があり、もち米で造られた甘酒だと思われます。

それから、京都大阪の甘酒売りの籠には釜があるので、温かいものを売っていたのではないでしょうか。

暑さで落ちた体力を回復するために、夏の甘酒売りが出まわり、夏バテ防止の栄養ドリンク剤として人々はよく飲んでいたかもしれません。 

ご存知ですか、俳句では甘酒は夏の季語なのです!

天然の栄養ドリンクって本当? 

麹菌の発酵過程で、栄養素はこのように変わります……

  米の澱粉質 → ブドウ糖 オリゴ糖

  米のタンパク質 → 必須アミノ酸

  ビタミンB群(8種類のビタミン) → 数がたくさん増える

  ・ブドウは人間や動物が活動するときにエネルギー源となる最も重要な栄養素です

  ・必須アミノ酸からだの中でつくることのできなく、食物から摂るしかない9種類の必須アミノ酸です。ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸には必須アミノ酸が含みます。

このいった成分が凝縮された甘酒は 「飲む点滴」と呼ばれるのです。 

甘酒って体にいいの?

1 疲労回復

米麹甘酒は栄養素がすでに分解されているため、消化酵素の働きなしでそのまま吸収できます。効率よく栄養を吸収して、エネルギーに切替するのです。

消化酵素の浪費を抑えて、新陳代謝・自然治癒力・免疫力等の役割を持つ代謝酵素を増やすことができるのです。

また、ブドウ糖とビタミンB群は、疲労回復効果の高い栄養素です。

2 風邪・インフルエンザ予防

米と米麴で造られた甘酒はブドウ糖、オリゴ糖、必須アミノ酸などたくさんの栄養成分が含有します。

これらの栄養成分が善玉菌のエサとなり、腸内環境が整えます。

腸内には免疫細胞がからだ全体の60%以上が存在しています。

腸内環境を整えることで免疫細胞も活性化していくことができ、有害細菌やバクテリアの増殖を抑制し、身体をウイルスなどから守ってくれます。

3 美肌

米麹甘酒には、肌に良いグルコサミン・セラミドが含み、美肌効果があります。

酒粕甘酒には、α-EG(α-エチルグルコシド)と言う成分が含まれており、荒れ肌改善や肌の保湿に効果があります。

酒粕甘酒を1週間飲んだ40代-50代の人のコラーゲンの平均値を調べると、コラーゲンの量が増えたという最新研究の報告(2018)

お肌しっとり  酒粕の保湿成分

酒粕甘酒の飲用試験で角質水分量を測定した結果、1週目で角質水分量の上昇が認められ、2週目ではそれがさらに大きくなりました。α-EGは低濃度でも線維芽細胞に蓄積して真皮層のコラーゲン密度を高め、表皮の角質水分にまで浸透するということ。肌にハリとツヤ、保湿にも効果があるということが分かりました

引用元: 1日50gで肌コラーゲンがよみがえる!美肌をつくる酒粕BOOK
「金沢工業大学 尾関健二教授・農学博士の記事より P.8-9」 2018/12 芸文社

4 腸内掃除、便秘解消

プロラミン由来の消化されないタンパク質「レジスタントプロテイン」は、食物繊維と同じく消化・吸収されにくく、体外へと排出されるため、整腸効果が期待されます。  

プロラミンは、種子や穀物(小麦、大麦、トウモロコシ、米など)に含まれる植物性タンパク質の一種で、高レベルのグルタミン酸とプロリンが含まれています。 

ヒトではコレステロール低減効果や便通改善効果を発揮するプロラミンの有効量は約113mg/日と言われ、米麹と米のみから製造されている甘酒コップ1杯(約150ml)には、ヒトで機能性を発揮できるプロラミン量が含まれていることが推測されました。

引用元: 「甘酒を飲んで、便通改善、コレステロール低減、肥満抑制。金沢工業大学応用バイオ学科尾関研究室が企業との共同研究で学術的に初めて実証」 大学プレスセンター (金沢工業大学) 2018.04.06 
https://www.u-presscenter.jp/article/post-39189.html

まとめ

参考文献

国立国会図書館デジタルコレクション – 類聚近世風俗志 原名守貞漫稿 164頁(コマ番号102/323) https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991466

尾関健二教授 研究室https://kitnet.jp/laboratories/labo0165/

金沢工業大学応用バイオ学科尾関研究室が企業との共同研究 2018.04.06 大学通信 https://www.u-presscenter.jp/article/post-39189.html

発酵はマジックだ  著者 小泉武夫 発行所 日本経済新聞社 2014

発酵・醸造の疑問 50  編者 東京農業大学応用生物化学部醸造学科 発行所 成山堂書店 @2019

プロラミンの定義 Definition of “prolamin” by Medical dictionary https://medical-dictionary.thefreedictionary.com/prolamin